大和逍遥   

別に運営している「三友亭雑記」というブログのバックアップである。

散歩・・・8・10

久しぶりに散歩をした。

本当に久しぶりだ。この前の散歩はいつだったか確認するために、ちょいと以前に書いた記事を調べてみると6月23日に散歩したとの記事がある。それ以外に特に思い出せることもないので、私がこうやって散歩に出たのはほぼ50日ぶりということになる。

別に忙しかったというわけではない。時期的に天候に恵まれなかったこと・・・なんてったって梅雨だったからね。それに梅雨が明けると猛烈な暑さもあって、どうにも散歩に出る気になれなかっただけである。

ところが、盆地性気候で昼はどうしようもなく暑い大和盆地ではあるが、立秋も過ぎたここ数日、朝方だけは過ごしやすい日が続くようになった。くわえて、少々たまっていた休日をこれからまとめてとろうとするその初日が今日ということもあって、久しぶりに散歩でもしてみようという気持ちになった。

いつもの通り家を出て、平等寺へ続く坂道を上る。坂道を上り詰めればそこが平等寺。私は左に折れて大神神社へと向かう。ほんの数分歩いただけで道は騒然とした木立の中に入って行くのであるが、その入り口の辺り・・・みると、道の真ん中でひっくり返って足をバタバタさせている昆虫がいる。全長は3cm前後・・・コガネムシかな?・・・コガネムシならばここで恩を売っておけばそのうち「コガネ」にて恩を返してくれるのではないかと期待し、そのもがき苦しんでいる状態から救出するべくしゃがみこんで覗いてみると、頭部に一本、ツノの様なものが見える。もしやと思いひっくり返してみると・・・

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少々小ぶりで疲れている。しかもなんとなくそのツノがすり減りでもしたかのように短い。けれども、立派なカブトムシである。子供が小さいころであったならば喜んで家に持って帰ったであろうが、今そんなことをしても息子たちは「ふ~ん、よかったね・・・」と冷たく対応してくれるだけであろうから、その場で逃がしてやることにした。とはいえ道の真ん中にそのままにしておいても誰かに踏みつけられでもしたら大変だ。私は道の聳える大木の幹に彼らにとって格好の餌場があるのを見つけ、そこに離してやろうとした・・・

・・・が、その場所にはすでに先客がいた。今私の手の中にあるカブトムシ君の数倍はあるような巨大なカブトムシ君だ。見ると私が見つけた餌場は到底二匹のカブトムシが共存できるほどの広さはない。このまま、小さなカブトムシ君をその餌場にはなってやってもすぐに追い出されるに決まっている。

私は少々考えて・・・私の手の中の小さなカブトムシ君をその餌場の下方に置いた。全ての判断を彼に任せようとしたのだ。無益な戦いは避け、別の餌場を自分で探すか・・・それとも自らに数倍する大きさを持った相手に果敢に挑んで行くか・・・すべては彼次第である。

すると、私の手を離れた彼は・・・餌場に向かってじりじりとその距離を縮めてゆくではないか・・・彼は戦いの道を選んだのである。

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結果は見えている。彼はさんざんに打ちのめされ、最後には自ら他の餌場を探しに行くか、体の大きなそいつが満腹になってどこかに行ってしまうのを待つか、どちらかであろう。ただそうなるとどうしても小さい方の応援をしたくなるのが人の情というもの。かといって直接手を下すのは自然の摂理をゆがめることになる。

カブトムシ 負けるなgatayan ここにあり

仕方なく私は、どこかで聞いたことのあるような句を心の中で念じつつ、その場を去ったのであった。