大和逍遥   

別に運営している「三友亭雑記」というブログのバックアップである。

雁風呂

先日紹介した夜が来るという曲は承知の通り、サントリーのウイスキー、ダルマ・・・じゃなかった、オールドのCMに用いられた曲だ。けれども、このダルマさん、なかなか高価で学生時分には手の出るようなウイスキーではなかった。まれにコンパなどに卒業された先輩が差し入れに持っていらっしゃった時など、一座は大騒ぎになったものだ。というより、ウイスキー自体が、安物の方であれば十分手に入る金額のものであったにかかわらず、何か高級なもののように思えてあまりコンパなどの場ではお目にかかれなかったように思う。

それでも、バイトの給料が入ったばかりの誰かが、気をきかせてウイスキーを持ってくることがある。それでもダルマまでは手が届くことはなく、その奇特な志を持った友人の手の中にあったのは多くの場合、同じくサントリーの角ビンであった。それよりランクが下のウイスキーもあったのだろうが、少々無理をしたものでなければ、差し入れにありがたみがない。

そして、一座はその奇特な志を、その許す酒量に応じて平等(物理的な平等ではない)に分配した。

その角瓶のCMでどうにも忘れられないものがあった。

1974年といえば私がまだ中学校の2年生の頃のものだが、そんな私の心にもこの中で語られる雁風呂の話は何とも心に染み入るような哀切なものであった。

前回のオールドのCMといい、この角ビンのCMといい、サントリーという会社のCMには心に残るしみじみとした情感が漂うものが多い。この会社のCMに対する姿勢なのだろう。初期の頃のこの会社の広報のスタッフに上のビデオに登場する山口瞳開高健を抱えていたことからも、その意識の高さがうかがわれる。

我々・・・失礼、私のようなものには手の届かないローヤルなんていう高級なウイスキーのCMもまた心に残るものがある。

ところが、ある事件以来、私はサントリーという会社に好ましい感情を持ち得なくなってしまった。私だけではない、東北に生を発した多くの人間がその日以来サントリーという会社を嫌い始めたのだ。

かの東北熊襲発言だ。

会社トップのこの失礼千万な、しかも事実誤認(正確に東北の地を差別するならば「蝦夷」と言うべきであっただろう)の甚だしいこの発言に我らが東北は一斉に反発した。

上記リンクに詳しいように、様々な様相を呈した発言後の成り行きも発言者の謝罪を契機に一定の終結を見たが、東北最大の歓楽街仙台市国分町辺りでは今もなおサントリーの品物は取り扱わないというお店が多々あるという。

そして反差別をモットーとしたいと願う私にも、いつまでもこの発言は心を去らないものになった。

したがって、愛飲するウイスキーは・・・ニッカ・・・ということになった。ニッカならば、宮城県内にその工場を持っている。しかも、近年には宮城峡なる銘柄をその主力製品としている。宮城出身の私が選ぶとすれば・・・

・・・ご理解いただけるであろう。

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