大和逍遥   

別に運営している「三友亭雑記」というブログのバックアップである。

お水取り・・・初夜の行

午後7時になった。それまであたりを照らしていた照明が一斉に落とされ、明かりといえば今私たちが見上げている二月堂の堂内を照らすそれのみになった。

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私は、西方浄土に向かって建てられているこの1669年再建の国宝建造物の南西50mほどのところに陣取っていたが、そこからやはり50mほど北にある二月堂へと上る長い登り廊のあたりが急に明るくなった。

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始まったのである。

・・・東大寺修二会(お水取り)の本行の中心的行事である日に6度の十一面悔過法の一つ

・・・初夜の行が・・・。

お水取りの行は練行衆と呼ばれる11人の選び抜かれた僧によって修められるが、彼らは日に6度、二月堂本尊である2体の十一面観音(大観音・小観音)の御前に出て悔過法要を行う。初夜の行とはそのうちの一つで、我々がお水取りとして認識しているのはこのこの初夜の行のみである。

しかしながら、この1262年の長きにわたって続く、この不退の行法はこの初夜の行のみをいうものではない。3月1日に始まり、二七ヶ日夜(二週間)の間、連日繰り広げられる日に6度の行、それに伴う様々な儀式、あるいは12月の練行衆の選定に始まり、2月後半に行われる別火と呼ばれる練行衆の精進期間などを含めたすべての行の総称である。今、私が眼前にしている初夜の行はその一つに過ぎない。

この初夜の行が始まるにあたり、二月堂へと練行衆が登り廊を登るときに道明かりとして焚かれる松明がこの光の正体である。一人の童子が松明をかざす。その後に一人の練行衆が続き、入堂する。その松明は二月堂の舞台(欄干)に回り、火を振り回す・・・これが今私が目にしている「お松明」と呼ばれる儀式である。松明はその後、裏に回り水槽で消され、上がってきた登り廊を降りていく。松明は長さ6~8m重さ40kg。使われる日の早朝にそれを担ぐ童子によって作られているという。

この「お松明」はお水取りの期間中、毎夜灯されているが、中でも12日は一回り大きな籠松明が出る。この日のみ連日10本灯される松明が、11本上堂する。この籠松明は長さ8m、重さ70kg前後あり、3月初旬の大和の寒空にひときわ明るく輝く。

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さて、この大和の春を代表する光景を撮影するべく、私は昨年購入したペンタックスx5を手にしていたが、未だその機能が飲み込めず、充分に使いこなせていない。したがって、ここまでお示しした写真はカメラに不慣れな私がカメラの機能任せに撮影したものだ。

「手持ち夜景」というモードで撮ったもので、手持ちでもぶれが出ないように短い時間で少ない光線をキャッチしなければならないためカメラの感度は極限まで引き上げられている。したがって、ノイズが見苦しいまでに入り、そのままではとても皆様にお目にかけることのできないような出来映えであった。

かといって、奈良への往復のガソリン代、駐車場代を支払い、寒空の中、震えながら撮った写真である。無駄にはしたくはない・・・ということで、かなり無理をして修正したのがここまでの写真である。

途中でモニターに映った数枚をみて、これでは・・・とても・・・とても・・・と思い、私はこの「手持ち夜景」のモードを止め、思い切ってマニュアルモードに切り替えた・・・が、そこが素人の浅はかさ、先ほどまで問題になっていた高すぎるISO感度が、今度は最低のレベルになっていたことに思いを馳せることができなかったのだ。

その結果が・・・下の2枚。

 

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その色合いこそ異なれ、まるで人魂である。

しかし・・・これはこれでおもしろい写真になったなと個人的には思っている次第である。