大和逍遥   

別に運営している「三友亭雑記」というブログのバックアップである。

お散歩・・・3・9

もう春が来たと言ってもいいだろう。それどころかそんなことを言っていると、今さら何を言っているんだなんて言われそうな陽気が続いている。ということで、今日はその春の陽気に誘われて週末恒例のお散歩に出かける。

マスメディアでも喧しく行っているように大陸からはゴビ砂漠(ひょっとしたら別の砂漠かも?)よりの使者が・・・ついでに北京からの招かれざる迷惑なお客さんまでが・・・青いはずの大空をほんのり黄色がかった灰色に覆ってしまっている。そのおかげで奈良盆地の東端にいちする我が桜井市三輪の地からは盆地の西端にある二上山、葛城金剛連峰はおろか、盆地中央部の大和三山すらその姿が拝めない。

ということで今日は視線をごく近くに向けて春を探してみたいと思う。

まずはお決まりの平等寺へと登る坂道。50mほど行くと右手にはこじんまりとした梅林がある。

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そしてその対面にある土手を見ると、これこそまさに春の使者がひかえめに自らの存在を主張していた。

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まだ、お水取り終わっていない。何度も言うように大和ではお水取りが終わらなければ本格的な春はやってこないと言われている。が、確実に春はその左足ぐらいはこの大和の地におろしたらしい。冬は完全に去ってはいない。数日もすればまた震え上がるような日がこの大和の地に訪れるであろう。けれども、終わりつつある冬の中で確実に春は息づきつつあるのだ。

さて、このひかえめな春の使者の別れを告げ、いつもの通り大神神社へ向かう。

何やら厳かな調べが拝殿から聞こえてくる。その調べに誘われるようにその中を覗き込むと・・・

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二人の巫女さんが舞を披露していた。巷にあふれる激しいビートや、女声ダンサーたちのセクシーなコスチュームはここでは無縁である。清楚で、実にゆったりとした・・・ゆったりとした動きである。古事記に色好みで名を残すわが大物主大神・・・いや、この国を見守り賜う八百万の神々は、こうした乙女たちの方がお好みのようだ。

「をとめの姿 しばしとどめむ」などとひとりごちたあとは、いつものように狭井神社、展望台と足を進める。展望台からの眺めは上述のごとく面白くもなんともない。

ということで、この辺りはさっさと通り過ぎて大神神社若宮社へと足を進める。

・・・と、その狛犬さんの足元に・・・

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もうちょっと近づいてみよう・・・

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馬酔木(アセビ・・・万葉集ではアシビ)である。これこそまさに大和路に初の訪れを告げる花。

かはづ鳴く吉野の川の滝の上の馬酔木の花ぞはしに置くなゆめ(1868) 我が背子に我が恋ふらくは奥山の馬酔木の花の今盛りなり(1903) 春山の馬酔木の花の悪しからぬ君にはしゑや寄そるともよし(1926)

と万葉人も愛で、歌に詠んだ花である。

もうこんな季節になったんだ・・・と思いつつこうやって、今日の記事を書いていると、つけっぱなしにしているテレビでは北海道の猛吹雪の様子が伝えられていた。聞けば明日、東北から北海道は、この穏やかな大和とは正反対の天候に襲われるらしい。浮かれてはおれぬ。ひそかに釧路の住人、薄氷堂さんに思いを馳せる三友亭であった・・・

ふと気が付いてみれば、あの日は・・・3・11・・・は、もう間近に迫っている。

あの日も寒い日だった。翌日、3月12日のうっすらと白く雪の降り敷いた被災地の光景が忘れられぬ・・・