大和逍遥   

別に運営している「三友亭雑記」というブログのバックアップである。

大阪市立美術館にて・・・ボストン美術館展

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なんともまあ愛嬌のあるお顔立ちの龍である。その目の持つ、ちょっと困ったような表情が見る者の微笑みを誘う。鬼才、蘇我蕭白(ショウハク)描くところの、「雲竜図」である。

かようなるユーモラスな雲竜ではあるが、その規模たるや縦165.6cm、横135.0cmの襖八枚(頭部4枚、尾部4枚、胴部幾枚かは失われている)に渡って描かれており、見るものを威圧する。私はこの龍に逢うために電車に乗った。

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電車から降りて、車どおりの多い太い道を隔てた公園から、おそらくシマウマであろうと思われるオブジェの向こうに見えるのは・・・その塔の展望台の思われるふくらみのすぐ下に見える見覚えのあるマークに目を凝らせばかなり多くの人が通天閣であることにお気づきであろう。さよう、かの塔の下に新世界はひらけているのである。

そして同じ場所で振り返る。

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通天閣が旧時代を代表する高楼であるなら、ご覧の高層ビルは平成を代表する高楼と言ってよいであろう。あべのハルカスである。地上300mの高層建築は来年春グランドオープンの予定であるが、下層部分の近鉄デパートだけが先行してオープンしている。

・・・と、新旧の時代を代表する二つの高楼を見るのがこの日電車に乗った目的ではない。上にも述べたように私の目的は下の写真の建物にあった。

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どこぞの市長が「しょぼい美術館」と呼び、その存続を一時的にしろ考慮の対象とした、大阪市立美術館である。この建物がしょぼいかどうか(私は極めて立派なものだと思うが)はそれぞれの主観もあろうから、とやかくは言えないが、その場所で・・・その職場に誇りを持って懸命に毎日汗を流す職員がいるであろう施設を「しょぼい」と一言で切って捨てるその姿勢はその人間性を疑ってしまう。

現在この美術館で催されているのがボストン美術館展である。ボストン美術館は、それこそ知る人ぞ知る・・・といった美術館であろうが、ことにその日本との関係の深さで知られる。フェノロサ岡倉天心らの尽力のよりそのコレクションが成立したものであるが、今回の催しははその所蔵する日本関係の美術品の展示会である。「日本御術の至宝」と副題の付けられたこの催しには、上掲の蘇我蕭白描くところの「雲竜図」をはじめとした、歴史や国語の教科書でお目にかかるような名品が目白押しで・・・かなり急いでみたつもりでも2時間近くの時間がかかってしまうほど・・・本当に質、量とも「恐れ入りました。」といわなければならないほどのものであった。

一々の作の詳細を述べることは私の力量の及ぶところではない。だいいち、その膨大な展示の全てについて詳細を述べたならばどれほどの文字を費やさなければならないか・・・

九州、名古屋、東京と場所を変えて行われてきた今回の展示は、大阪が最後となる。6月16日、大阪市立美術館での展示が終われば、これらの「日本の至宝」はアメリカはボストンに帰ってしまう。日本のどんな場所からの交通費もボストンの地までの交通費よりは安くつくであろう。この展示未見の方・・・いかがなされるか・・・?