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大和逍遥   

別に運営している「三友亭雑記」というブログのバックアップである。

万葉文化館で・・・

ちょいと調べものがあって、万葉文化館へと足を運んだ。展示部分は有料の施設ではあるが、ここには万葉図書・情報室なる部屋もあって、私が用のあるのはもっぱらこちら。使用に当たってお金は発生しない。かなりの数の量の上代文学関係の書籍、それを開架式で利用できるのはまことにありがたい。私の様に手元の書籍の乏しいものにとって立派な本棚代わりである。

ただ、ここに訪れる時の私の楽しみは他にある。施設の東側に広がる庭園である。四季を通じてこの庭園を飾る花々は、いつも私の目を楽しませてくれる。

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車を止めて施設への門を抜けた私の目にまずは行ってきたのはホタルブクロ。紫のものと白のものがあって、wikipediaによれば関東は紫が中心、関西は白が中心なのだという。

甘い香りが園内には漂う・・・

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クチナシだ。

耳なしの山のくちなしえてしがな思ひの色の下染めにせむ

なんて歌が古今和歌集に詠み人知らずとして収録されている。「耳なし」は大和三山の一つ耳成山。

耳成山のくちなしの実が欲しいものだ、誰にも知られぬ思いを染めるための下染めにしようと思う。

というほどの意味か・・・

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続いて紫陽花。この季節、紫陽花などどこに行っても目に入る、そう珍しくはない植物ではあるが、この写真のものは、ご覧のように葉っぱの形がちょいと違う。「柏葉紫陽花」というのだそうだ。

葉っぱの形もさるものの、その花の形自体にも興味を持って一枚撮っておいた。この細く長く、花の集合体が延びる形から、「紫陽花」という言葉が一瞬思い浮かばなかったのであるが、一つ一つの花を見れば、まぎれもなく「紫陽花」。この個体だけが、写真の様に細く長く咲くものなのか、それとも「柏葉紫陽花」という種全体がそうなのか、私には何とも言えない。

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つづいてはシモツケ

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白いやつも咲いていた。

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続いてはカワラナデシコ万葉歌人大伴家持がこよなく愛した花である。

秋さらば見つつ偲(シノ)へと妹が植ゑしやどのなでしこ咲きにけるかも

最初の女を失ったときの家持の挽歌である。おそらく、自らの死を悟っていたであろうと思われるその女が、秋になったらそれを見て・・・とナデシコを植えたというのである。万葉集の編纂に大きくかかわったとされる歌人の最初の女はナデシコの花が髣髴とされるような可憐な女性であったと見て取れるが、季節的にはちょいと早すぎる開花であったように思われる。

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逞しきはネジバナ。庭園整備の際に植えられた上に紹介した花々とは違い、おそらくは、この庭園を作る時に運んでこられた土にその命の元を潜ませていたであろうこの花は、「蔓延る」という言葉がふさわしいほど庭園の芝地にその生命を輝かせていた。

そして・・・

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そんなネジバナに敬意を表してか、モンシロチョウが訪問していた。