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大和逍遥   

別に運営している「三友亭雑記」というブログのバックアップである。

元興寺の萩は散りにき・・・下

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極楽坊本堂(極楽堂)内において、そこに広がる西方浄土の荘厳をとくと体感した後、私はその西に隣接する禅室の西端の一室、春日影向堂に安置された絹本板貼智光曼荼羅舎利厨子を拝観する。日頃は非公開とされる影向堂は、この日運よく公開されており、まことに持って幸運であったと思う。そして、ここにもまた西方浄土はあった。あまり信心深くはない私ではあっても思わず手を合わせずにはいられない荘厳がそこに広がっていた。

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上の写真は、北側の庭から、この二つの御堂を写したものである。手前が禅室、奥が本堂である。美しい甍の並びが見て取れると思うが、遠く明日香の御代に焼かれた甍もその中にはある。前回も申し上げたが、建物自体の材にも奈良時代以前のものが用いられている部分があり、この古寺の来歴の古さを物語る。幾度も改築が繰り返された元興寺ではあるが、改築の度にまだ使える甍や材を活用され、我々は今もなお飛鳥時代の息吹を感じることが出来る。資材をふんだんには使えないという経済的な事情そこには作用していたとは思うが、そこには前代の匠を後世に伝えようとする後代の工人たちの心意気が感じられるような気がしてならない。

さて、この二つの御堂の南にはさらにひとつ、ちょいと小ぶりの御堂がある。

小子坊と呼ばれている旧極楽院庫裏である。もと禅室の北側にあった、東室南階小子房の一部を改築したもので、北厨房あるいは台所と称された。1663年に極楽院庫裏として改築されたが、1949年に本堂の南側に移転増築して極楽院保育所建物としてつかわれていた。1960年に今の位置に移動して復旧されたのだという。

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上の写真はその入り口に配された手水場のようすである。さりげなく飾られた桔梗に思わず心惹かれた。

そしてこの寺の中核となる二つの御堂と、この小子坊との間にひときわ目を引く空間がある。

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幾つあるともしれぬ五輪・・・そして・・・

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石仏群である。

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これまた数知れぬ石仏たちの間にひっそりと桔梗が咲いている。

ただ石仏はここだけではなくあちらこちらに安置されており、

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境内のどこを歩いていても上の写真の様な・・・思わず「ふっ」と心をほぐしてくれるような・・・造形に巡り合える。古いもの、新しいもの、入り混じって幾つあるとも知れない。

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仏像ではない(邪鬼?)が、こんなのも2体ほど見つけることが出来た。

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右側のやつなんて、なかなかセクシーなポーズである。

なかなかの御愛嬌だ。

 

大和に暮らし始めて35年、元興寺を訪れたのは今回が最初。いつか、いつかとは思いつつ、なぜか足を運ぶことがなかった寺である。何度も何度もその前を通り過ぎた。また今度、また今度を繰り返し・・・今日やっとである。南門の左手にある拝観受付で、拝観料(400円也)を支払ってから、1時間強・・・本当に素晴らしい時間を過ごすことが出来た。

なぜ、もっと早く来なかったのか・・・いや、この寺の持つ魅力を充分に感じ取るには今の齢が必要だったのかもしれない・・・