読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

大和逍遥   

別に運営している「三友亭雑記」というブログのバックアップである。

奈良公園で紅葉を見る

先日奈良公園に行った。行楽シーズンということではあったが、さすがに朝8時過ぎではそれほどの賑わいはない。この季節、いつもならごった返している興福寺南円堂も・・・ほら、この通り。

Photo0140

興福寺は知っての通り、藤原氏の氏寺。この南円堂は摂関政治の礎を築いたとも言われている藤原冬嗣が、その父内麻呂の菩提を弔うために築いた八角堂。堂内には、不空羂索観音が祀られている。現在の建物は寛政年間初期(1789~)のもの。「不空」とは「空しからず」、「羂索」とは鳥獣魚を捕らえる縄のことを言う。従って不空羂索観音とは「心念不空の索をもってあらゆる衆生をもれなく救済する観音」との意味になる。そんな有難い観音様ならば手を合わせないわけにはいかない。

写真はその参拝のあとに撮ったものである。

さて、この日奈良に行ったのは遊びではない。れっきとした仕事である。なじみのお得意さんを接待のために奈良公園へとご招待したのである。そんな合間合間に手元の携帯でパチリ・・・

それが今日の写真だ。

Photo0146

まずはこの日の行程の確認の意味も込めて、奈良県庁の屋上へ・・・東を見れば北から若草山春日山高円山・・・そのやや北側にはご覧のように大仏殿が見える。そして・・・南を見晴らせば・・・

Photo0150

はるか南に吉野の山地。そこから和歌山との県境までずうっと険しい山並みが続く。我が奈良県の平地は・・・あそこまでしかないのである。もうちょっとかすんでいなければよく分かるのであるが、写真の中段、左からやや色濃く山並みが続き、真ん中あたりで終わっているが、その中ほどの山並みの途切れ目にある頂上の丸い円錐形の山が三輪山である。私はあの山の麓に住んでいる。

ところで三輪山といえば額田王の次の歌が有名である。

額田王下近江國時作歌井戸王即和歌

味酒 三輪の山 あをによし 奈良の山の 山の際に い隠るまで 道の隈 い積もるまでに つばらにも 見つつ行かむを しばしばも 見放けむ山を 心なく 雲の 隠さふべしや 三輪山をしかも隠すか雲だにも心あらなも隠さふべしや

万葉集巻一・17/18

おそらく、この歌は近江遷都の折のもの。明日香を離れた一行が、いよいよ大和国原と別れを告げる瞬間の歌。となれば、この歌の歌われたのは山背との国境の平城山辺り・・・とすれば、この写真のような感じでしか三輪山は見えなかったはずである。もっとも、歌によればこの日は雨。三輪山は見えはしなかったはずだ・・・

Photo0151

さて、今日の行程の始まりはここ。猿沢の池である。池の上に見えるのは興福寺五重塔。このアングルは定番のもので、奈良を訪れる皆さんはこぞってこの場所で写真を撮っていらっしゃる。少々風があったせいか水面に乱れが見られるが、風のない日には水面に映る、くっきりとした五重塔の姿をフィルムに収めることが出来る(最近は、フィルムじゃないね・・・)。

そうそう、フィルムといえば、この日こんなお店を見つけた。

Photo0153

備前焼の器を売っているお店なのだが、なぜかショーウインドウにはご覧のようなものが・・・並んでいる。興味のある方は、画面をクリックして詳細を確認していただければと思う。なあに、そんな大した価格ではない。それよりも何よりも、この写真の貴重な所以は・・・その右半分に移る人影である。

何を隠そう・・・これこそは私の・・・そう三友亭主人の姿である。

Photo0157

これは、奈良国立博物館の旧館。正倉院展も終わって、ちょいと人影がまばら・・・・なんてことはない。なぜならば、この写真はその裏手を撮ったもので、正面に回ればそれなりにごった返しているはずだ。

Photo0160

これは東大寺南大門。いつも紹介する金剛力士や、狛犬さんは今回は省略。そろそろ皆さんもお飽きのことかと思う。

Photo0167

周辺はあちらこちらでこんな感じの紅葉。公園としての整備の過程で植えられたものかと思うが、そろそろ見るに堪えうる大きさにまで育ってきている。あと20年もすれば、きっと奈良公園は紅葉の名所になっていることだろうと思う。それほど美しい紅が園内のあちらこちらにちりばめられていた。

Photo0172

奈良公園といえば、鹿さんを外すことはできない。この季節オス時価の発情の時期であちらこちらで雌欲しさに「ピィーピィー」鳴くその声が聞こえてくる。ただしこの写真の鹿さんはそんな生臭さには縁のない風情である。大きさからして今年・・・いや、昨年に生れた幼い鹿なのだろう・・・・真っ直ぐな目でこちらを見つめていた。

もちろん彼(彼女)の思いは一つ・・・

この叔父さん、なんか食えるものくれるのかなあ?・・・

であるに決まっている。

Photo0177

鏡池越しの大仏殿。これもまた風のせいで水面は鏡にはなりきってはいなかった。ただし、写真では微かにしかうかがえないが、池周辺の紅葉は実に見事なものがあった。

Photo0181

奈良太郎と呼ばれている東大寺の鐘楼である。今見る鐘楼は、重源上人のあとを継いで東大寺の大勧進となられた栄西(ヨウサイ)禅師が承元年間(1207~1210)に再建したものと伝えられている。吊り下げられた梵鐘は勝宝4年(752年)のもの、その重量26.3tである。

Photo0184

これは反対側から見たもの、私のようなものがいたずらをしないようにとの用心で、鐘を鳴らすための綱が外されている。

Photo0186

ここは手向山八幡へと向かう石段。どうも、若い方々は階段を見ると走り出したくなるらしく、何度も何度も階段ダッシュを繰り返していた。若さの持つパワーが少々うらやましくも感じられた。

Photo0188

石燈籠にはられていたもの。やっぱりここでも鳩の絵が・・・

Photo0191

若草山の麓を抜けて春日大社へと向かう。ここもあと2か月ほど先には紅蓮の炎に包まれるはずだ。

山焼きだ・・・

Photo0194

春日の原生林の中を抜ける古径。この辺りはこんなふうにまだ緑が優勢だが、よくよく見れが、そこに黄色が混じっていることが分かる。けれども・・その下を歩く私たちを清々しい気分にさせてくれることには変わりはない。

この場所を通過するには、もうすでにかなりの距離を歩いていて、お客の皆さんはかなりお疲れの様子であったが、この樹下を通り抜ける時、少しだけ皆さんお元気になったような気がした。

Photo0207

そして・・・いかにも奈良という光景で今日の閉じ目としよう。3頭の鹿と一羽の烏。そしてその頭上の紅葉・・・

もう少し腕のある方が撮れば・・・とは思わないでもないが、そうなると私のようなものには出番が無くなってしまう。みなさん・・・・辛抱召されよ・・・・