大和逍遥   

別に運営している「三友亭雑記」というブログのバックアップである。

上京記・・・1

先日予告したとおり、この7日、8日の週末は職場の慰安旅行で東京へと出かけた。集合は10時、京都駅だ。そのために私は家人に近鉄桜井駅まで車で送ってもらい、大阪方面・・・上本町行きのホームに立った。8時頃だったかと思う。すると、ホームにちょいと珍しい列車がゆっくりと通り過ぎていった。

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運転席の上部に見えるRollsignには「鮮魚」と記してある。「鮮魚」なんて駅は、近畿日本鉄道(以降、近鉄)の路線図のどこを探しても見当たらない。それもそのはず、このRollsighnは行く先を示しているのではなく、その積み荷を示している。

鮮魚列車・・・そんなふうに私たちは呼んでいる。この列車は伊勢・志摩の魚介を大阪で行商する人々のための団体専用列車の愛称だ。かつて、伊勢志摩で水揚げされた魚介類を大阪の街中で販売する行商人が多数存在していたが、魚介類を一般列車に持ち込むと魚臭など他の客の迷惑になるため、近鉄は彼等のために専用列車を仕立てることになった。それがこの鮮魚列車だ。車内には関係者数名を除いて、乗客はほとんど乗っていないが、伊勢志摩でみずあげされたばかりの新鮮な魚介類が入った発泡スチロール等の容器が多数積み込まれている。早朝に宇治山田駅を出発して、およそ2時間半をかけて大阪に到着する。

全盛期は100人を超える行商人が利用していたこの鮮魚列車であるが、現在の利用者はその半分ほどに減少している。自動車輸送の普及や行商人の高齢化(後継者不足)などによる利用客がその減少の理由である。それでもまだ、その存在意義はなくなったわけではなく、現在でも平日・土曜の朝、宇治山田~上本町間で、夕方に上本町→松阪間で運行されている。現在、日本国内で運転されている鮮魚列車は近鉄のみであるという。

さて、鮮魚列車が発車したあとのホームに上本町行き準急が滑り込んでくる。私は三つ先の駅、大和八木で京都行き特急に乗り換えるべく、この準急に乗り込んだ。

・・・ここで話は再び脱線。関西から東京方面へと向かう時、新大阪や京都の駅(奈良からの場合は間違いなく京都)から新幹線に乗り込むのが常識的な移動方法だが、ここ10数年、私はそのようなルートを辿って東京に行ったことはない。まずは少々面倒ではあるが、急行、あるいは準急に乗って大和八木へと向かい、そこから折り返すようにして名古屋行きの特急に乗る。そして名古屋から新幹線に乗るのだ。少々面倒くさいようではあるが、これは・・・関東の方がもしも奈良に来ようというときに役に立つかも知れないので、そのわけを少々話してみたい。

まずはその乗車料金の比較。今試みにyahooの路線検索でその料金を調べると、京都回りで大和八木から東京に行った場合、14,860円かかるらしい。ところが名古屋回りのそれは13,980円である。片道880円、往復にして1760円、名古屋回りの方が安い。それでいて乗車時間は、京都回りのそれは3時間14分、名古屋回りのそれは3時間19分とほとんど変わらない。たった1760円ではあるが、時間がほとんど変わりがないのであれば・・・どちらを選ぶべきか?1760円もあれば、駅弁を1買った上に缶ビール2本は飲める。さらにはこの路線を走る近鉄特急アーバンライナーの乗り心地は極めて快適である(大和八木・京都間を走る近鉄特急は古い車両が多い)。

ということで、私はいつもはこの名古屋回りを採用しているのだが、職場のメンバーは奈良市をはじめとした奈良県北部の人間が多い。奈良県北部を基点とした場合、名古屋回りも京都回りも運賃には、そう差が出ないばかりか、時間もかかるし、乗り換えも面倒くさい。私一人のために他のメンバーに迷惑をかけるわけにも行かない(それも、駅弁一つと缶ビール2本のため)。1時間半後・・・9時30分の少々前、私は待ち合わせ場所の近鉄京都駅、新幹線乗り場前の改札口に立っていた。

三々五々我が愛すべき同僚達が集まってくる。幹事を買って出た(あるいは押しつけられた)腰の低い若い同僚が、新幹線のチケットをみんなに配る。そろって、新幹線乗り場内に入る。時間はまだ少々ある。トイレに行くもの、近くの売店を覗くもの、いろいろといたが、私は車内でのどを潤すべきものを探しにいくつも並ぶ売店のひとつに入った。

そこで見かけたのがこれ。

かの黄桜酒造の製品だ。ホームページ上の商品案内には

1995年に生まれた京都で最初の地ビール。香りがよく、さっぱりしているのにコクがあるのが特長です。 色は淡い山吹色で、名水「伏水」と清酒酵母を使用した清酒風味がほのかに香るまろやかなビールです。

と書いてある。私の購入したものは、缶入りのもの。しかも新幹線内でグラスに注いで飲むなんてことは出来ないので、本当に「淡い山吹色」だったのかどうかは確認できなかったが、「香りがよく、さっぱりしているのにコクがある」のは確かで、のどの渇きの任せて一気に飲み干すのは少々もったいない・・・そんな感じのビールであった。ちびちび・・・しかも当てなどなしに楽しむにふさわしいビールのように思われた。

ということで・・・ちびちびとやっていたらいつの間にか名古屋の駅を過ぎていた。

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