大和逍遥   

別に運営している「三友亭雑記」というブログのバックアップである。

上京記・・・3

浅草寺をあとにした私は東京スカイツリーへと向かう。築地場外市場浅草寺東京スカイツリーと、「おのぼりさん」の典型的なコースをたどっているわけであるが、まあ、慰安旅行で東京に向かうことがすでに「おのぼりさん」であるわけだから、ここは正統な「おのぼりさん」コースをたどるのが最上であろう。

浅草寺はともかくとして東京スカイツリーなどは、おそらく個人の旅として出かけたならば、まずその旅程に入れるはずがないであろう私が、こうやって近代建築の粋に足を運ぶことが出来たのも、この「おのぼりさん」旅行のおかげである。人みなの話題になっているような場所にはあんまり足を運びたくはない・・・という少々へそ曲がりな私に、そのような場所に足を運ばせるにはこういう慰安旅行のような強制力が必要である。

そもそも、この「あんまり足を運びたくはない」という私の感情は、単なるテレであり、必ずしも本当にその場所に行きたくはないと言うことを意味はしない。本当は強く興味を持っていながら、その「テレ」ゆえに「足を運びたくはない」と言っていることもしばしばあるのだ(これは私がベストセラーなる書物をまずは読まないという性癖と理由を同一とする)。ただし、中には本当に「足を運びたくはない(読みたくはない)」と思っていることも中にはある。ここはそのどちらかは明言しないでおこうと思う。

さて、浅草から東京スカイツリーのある押上までは地下鉄で3駅(2駅だったかな?)ほど。あっという間の到着だ。改札を出るとそこはもう東京スカイツリー付属の建物の地下ショッピング街。ここを抜けて、その4階まで上れば、東京スカイツリーの登り口となるが、せっかくその間近まで来たのだから634mというその高さを実感しないてはない。私たちはすぐに地上に出て、その全容を目の当たりにした。

DSC_0047雲を突くその姿が私たちに迫る。こうやって写真を撮ろうと上を向いているだけでも首が痛い。無論、その634mの部分までいけるわけではないが、これから上ることを予定している天望回廊の高さは450m。私が毎日振り仰いでいる三輪山が標高467.1mであるから、そのほとんど頂上に相当する部分まで上ることになる。

ところで、せっかくそのような見晴らしの良い場所まで上ったわけであるから、そこからの展望なるものをみなさんにお示しするのも一興かと何枚もの写真を撮ったのだが、あいにくの曇り空・・・ここまでの高さに上るとどうにもしゃきっと写ってくれない(肉眼では結構見えるのだが・・・)。手持ちの携帯電話の画面ではそれなりに見えた写真も、家に帰ってコンピュータのモニター見るとどうにもみなさんにお見せできるような代物ではない。無理をすればお示しが出来ないわけでもないが、ネット上にいくらでも美しい映像があるわけだから、ここで無理をしてみなさんの目を患わすこともなかろうと思う。

 

DSC_0059さて、標高450mの高地に小一時間ほど滞在したのだろうか・・・そろそろ飽きてきた私は、同僚達より一足早く下におりて、再びこの並外れた高殿を振り仰ぐ。周囲は次第に暗さを増して、この高殿は美しい光を纏い始めた。暗さが増せばますほどその光は美しさを増す。おそらくはこの塔の上部から放たれているのであろう光が上空に丸く映えているのが見えたのが、なぜかしら印象に残った。

予定の時刻も来て、我が愛すべき同僚達が集まってきた。少々遅くなったがこれから夕食である。再び浅草に戻り、幹事さんがセッティングしてくれた浅草ビューホテルへと急ぐ。今夜のごちそうは当ホテル自慢のディナーバイキングである。ランチバイキングなるものは何度かケイケンしたことがあるが、夕食時のバイキングはあまり経験がない。どんなご馳走かと心震わせながら会場へと急ぐ。もちろんフリードリンクである。

それぞれがお好みの料理を皿一杯にしていよいよ乾杯だ。ビールはスーパードライ。私があまり気に入っていない銘柄ゆえ、一杯で焼酎のロックに切り替える。本来ならば、ここからは清酒をやるはずであるがこれもまたあまり気に染まない銘柄である。おまけに、和洋中、取りそろえたご馳走にどうにも清酒がなじまないように思えたからだ。けれども、この焼酎ももう一つ私の好みではなかった。ゆえに私としては常々それが掟破りのように思え、食事中には口にしないことにしていたウイスキーをやることにした。銘柄は竹鶴の12年もの。これならば私に文句があるはずはない。

・・・けれども、やはり掟破りは掟破り。私の心は微妙に胃の具合にも影響を与えはじめ、箸は次第に動かなくなっていった(無論それまでにかなりのものを食していたからでもあろうが)。そんな時、隣に座っていた同僚の皿の上にあった薄桃色のひらひらとした形状の食物に目が行った。寿司屋では必ず饗される「ガリ」である。その同僚にちょいと断りを入れて、一切れいただく。カリカリとした食感とともに、甘酸っぱい味が口中に広がる・・・これだ・・・

ウイスキーに「ガリ」・・・全く異種の組み合わせであるが、私にはこの上のない組み合わせに思えた。「ガリ」を囓ったあとの口に残る甘みをウイスキーがきれいに洗い去ってくれ、さらにはウイスキーを含んだあとの口中の重さを「ガリ」が清爽なるものに変えてくれる。私はすぐさま席を立ち、寿司の並んでいる机の端に置いてある「ガリ」を小皿一杯に盛った。

その後、幾杯もの竹鶴12年もののグラスを傾けたことは言うまでもない。

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