大和逍遥   

別に運営している「三友亭雑記」というブログのバックアップである。

桃源郷へ・・・

この先にいったいどんな空間が開けてくるのか・・・まるで異界へと通じる通路のようなトンネルを私は一歩一歩進んでいた。

IMGP4785edited いささか大げさな物言いになってしまったが、そんな感覚に襲われていたのは確かであった。

私は盆明けの日曜日、焼き物の里信楽にあるMIHO MUSEUMという美術館へと出かけた。よほど詳しい方でなければその名を知る人もない・・・と言うことは裏を返せば知ってるよく知っている美術館で、さる宗教団体の経営する美術館である。

当然、詳しくはない私はつい先日までその名すら知ることのなかった美術館であったが、この日に先立つほんの数日前ひょんなことからそんな美術館が湖南アルプス(琵琶湖の南に広がる山岳地帯)の一画にあることを知った。この夏の休暇の最終日どこかに出かけようかと思っていたおり、私はちょいと興味を覚えググってみた。

生誕300年 同い年の天才絵師 若冲と蕪村

という特別展が催されているではないか。絵心もなく、絵画の世界にはとんと疎い私ではあるが、若冲の名ぐらいは知っている。ましてや蕪村ならば文学の世界でもおなじみの名である。

ことは決まった。8月16日の朝9時過ぎ、私は愛車ラクティスのエンジンを回した。

国道165号線を東進し長谷寺のところから道をそれ、山中に入り名阪国道の福住インターへと向かう。名阪国道を伊賀の大内のインターでおりた後は、ただ北へ北へと向かった。10時半を回った頃から、道々にMIHO MUSEUMの案内掲示が目につくようになる。私はただその掲示にしたがって車を走らせた。

11時になったかならないか・・・そんなあたりで目的地には着いた。

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駐車場はかなり奥の方・・・したがって、駐車場から美術館の方を見るとこんな感じになる。空は曇りそんなに気温は高くなかったゆえ、あまり苦にもならず歩くことが出来た。

IMGP4778

そして・・・やっとたどり着いた美術館・・・と思ったところは、単なる受付の建物であった。券売所とレストランと売店があるだけの施設で、美術館の本体ではない。施設の前はまるで駅前のロータリーのようになっていて、中央に咲いた白い蓮の花が、これから私が向かおうとする場所を暗示していた(後になって思えばの話であるが)。

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ロータリーには10人と少しばかりの人数が乗れそうな白い電動のカートが止まっていた。結構多くの人々が並び、その順番を待っていた。私もその列の最後の方についたのだが、案内の方が「このあたりは人番が回ってくるまで20分ぐらいかかります。歩いても10分ぐらいで行けますので、よろしければそちらをお選び下さい。」と言うような意味のことを言っていたので、それならば・・・と歩くことにした。

結構急な坂道ではあったが、道の両脇の植栽が多彩で目を楽しませてくれ、さして苦痛を感じることなく私は斜面を登った。

IMGP4783

そしてたどり着いたこのトンネルの内部が一番上に示した写真である。

IMGP4784

一見何気のないトンネルであるが、ただのコンクリートを打ちっぱなしたそれとは違う・・・かなり意匠を尽くした造りであった。それは明らかにそこに通るものに一定の感慨を抱かせようとする意図が込められている・・・ここを抜ければ、何か違う世界が広がている・・・そんな思いを抱かせようとした造りであった。

家に帰って、この美術館のHPを見た時その実感は正しいものだと知った。まさしくこのトンネルは陶淵明の桃花源記を意識してのものであったのだ。

晋の太元中、武陵の人魚を捕らふるを業と為す。渓に縁りて行き、路の遠近を忘る。 忽ち桃花の林に逢ふ。 夾岸数百歩、中に雑樹無し。芳草鮮美、落英繽紛たり。

とある、高校の古典なんかで習ったやつだ。桃源郷という語の元になった逸話である。人によっては陶淵明はそんな理想郷の存在なんかは信じていなかったというが、後の時代を生きる我々は明らかにこの語を理想郷を同義語として用いている。

そう・・・このトンネルの先にあるのは・・・と、そんな期待を我々に抱かせる・・・目的でこのトンネルは作られたのだ。

その意図は・・・上に示したHPのlandscapeというページを繰った時にいきなり「シャングリラをここに」と書いてあることからもうかがえる。

そして・・・トンネルを抜けた先に見えたのは・・・

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美術館の本体である。見かけはほんのささやかな建物であるが両翼への広がりは結構大きく、しかも斜面に立っているため分かりにくいが、これでも2階建てである。

・・・と、ここまで書けばこの美術館についてのいささかのレポートが、次に始まることを予想する向きもあるかもしれないが、絵画やらなんやらの美術品については、それを説明する言葉を持ち合わせていない私であるからそれは無理な話。あとはHPの記述にお任せしよう。

最後に一言・・・好みは、若冲より蕪村かな・・・

 

 

 

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