大和逍遥   

別に運営している「三友亭雑記」というブログのバックアップである。

明日香を歩く

結局、9月は帰郷のレポートのみで終わってしまった。延々と10回に渡っての私の宮城への帰郷のレポートは次の場所に一括してアップしたのでもし時間があるのならば、一度ご覧になっていただければ幸いである。

帰郷

ところで、私が長々と9月初旬の2日間について記しているうちに、大和の地にもやっと秋らしい風が吹きすぎる季節となった。台風15号の通過が、一気に秋を呼び込んだようで,、日中はまだ汗ばむような気温ではあるが、窓から入ってくる風はまさに秋のそれである。「目にはさやかに見えねども」と詠んだ先人の鋭敏な感覚がまさにその通りと肯けるそんな毎日が続いている。

そんな気候にも誘われて、久しぶりに明日香でも歩いてみようかという気持ちになって、石舞台の周辺に足を運んだのは先週の週末のことだ。石舞台まで、我が家からは車で20分ほど。車を降りておもむろに歩き始める。この季節、大和を遊歩するとまず目に入るのは、田の畦、あちらこちらの土手や草地に鮮やかな紅を見せる曼珠沙華だ。

ほんのりと黄色が目立ち始めた田の畦ごとにのびる紅の帯の壮観をお伝えしたいとは思うのだが、私の未熟なカメラ操作と、携帯のカメラではちょいと無理だ。よって石舞台周辺の草地に生えていたとびっきりのを一枚。

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群れ咲き、田の畦や草地を真っ赤に染める曼珠沙華も見事ではあるが、こうやって数本控えめにその存在をアピールしている曼珠沙華もまた趣深い。

さて、やがて曼珠沙華の季節は終わる。と、同時に大和の野辺を飾るのは萩だ。

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ただ、私がこの場所を訪れたときはまだ曼珠沙華が幅をきかす季節であったので、萩はほんのりとその花の色を示しているに過ぎない。

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萩は数ある花々の中でも万葉人がもっとも好んだ花で万葉集中142首の詩に詠み込まれている。そのいくつかを次に示す。

高円の野辺の秋萩いたづらに咲きか散るらむ見る人なしに 指進の栗栖の小野の萩の花散らむ時にし行きて手向けむ 我が岡にさを鹿来鳴く初萩の花妻どひに来鳴くさを鹿

充分に秋の気配を堪能した私は、家に帰るべく車を止めた空き地に戻る。石舞台のやや東に位置するその空き地から多武峰にかけて広がる棚田の畦の曼珠沙華の紅の帯にひととき目を楽しませる。

そして車に乗ろうとしたその時・・・鮮やかな紫が目に入った。

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葛だ・・・

葛の花 踏みしだかれて、色あたらし。この山道を行きし人あり

私は思わず声には出さず口ずさんだ。釈迢空折口信夫)の代表作の一つだ。濃い緑が周囲を取り囲む。その葉影の中、この紫色はその存在を強く主張していた。

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