大和逍遥   

別に運営している「三友亭雑記」というブログのバックアップである。

海苔の話

先日私の好物と称した一文をお示ししてみなさんの御目を汚してしまったが、今日は性懲りもなくその続編をお届けする。

これは単なる時代の違いであって地域差ではないのかもしれないが、私は大和で暮らすようになり自活するようになって、いわゆる「焼き海苔」というものがビニールの袋に入って売っていることに驚いた。

郷里にいたころは「味付け海苔」は別として、「海苔」といえば10枚(即ち一帖)が一束で、それぞれに紙の白い帯で巻いて売ってあるのが普通だった。一帖50円から1枚50円ぐらいまで結構値段の開きがあったように思う。そして購入したそれを家では新聞紙でくるみ、お茶箱の中で保管していたものだ。

ところが、大和ではこんな売り方をしているところは少なくとも私の目には入ってこなかった。街なかの品ぞろえの豊富な乾物屋なんかに行けばあったのかもしれないが、私の行くような食料品店やスーパーなどではめったにお目にかかれない。あったとしてもそれほど高品質とは言えないようなそれが大量の「焼き海苔」や「味付け海苔」の間に肩身を狭そうにしかもビニールの袋に包まれて鎮座ましましているのみである。

まあ・・・今日、スーパーでビニールの袋に包まれないで裸のままで海苔が売られている姿はあんまり想像できないのであるが、先日近所のスーパーで「焼かれていない」海苔の姿を久しぶりに見つけた。しかもそのスーパーで売られている「焼き海苔」の一番安いものより100円安い。

炙る手間が少々気にかかるが、そんな動作にもいささかの郷愁が感じられて(しかも値段に惹かれて)手を伸ばしてしまった。

後悔したのは家に帰ってからである。

数年前我が家の厨房は電化され、火の気がない・・・どうやって、炙ったら?

そうだ、ちいさな電熱があったはずである・・・どこにあったかな?

あいにく妻は外出中。

しかしながらこの時ばかりは自らの頭の回転に感心した。

オーブントースターだ。

先日の記事で私がオーブントースターで海苔を焼いている様子をお示ししたが、その時「?」とお思いになったみなさん・・・・こんな事情があったのだ。

まあ・・・使用した器具はともかく海苔はうまい具合に青みを帯びてきた。漂ってくる香りも悪くない。

いい感じに海苔が焼きあがった。

私はそれを二つに折り畳み、2枚の長方形を作った。そしてあらかじめ握っておいた小ぶりのおにぎり(まぶしてある塩は先日幻住庵の御主人から頂いた南方のもの)に巻きつけた。ご飯が見えない、真っ黒なおにぎりの出来上がりである(いったんは青々と焼きあがった海苔もアツアツのご飯の水蒸気を吸い取って再び黒色に戻る)。

とたん・・・私はその磯の香りに誘われて二つの内の一つを頬張ってしまった。

うまい・・・

そしてもう一つ。

ものの1分で二つの黒々とした塊は私の意の中に姿を消した。

驚きだった。こんな安物の海苔が、こんなにうまいとは・・・

確かに、私はもっともっと上質の海苔があることをを知っているし、その味も知っている。けれども、そこらで売っている少々値の張る「焼き海苔」のそれよりははるかに鮮烈な香りと、なめらかな口どけがそこにはあった。

丁寧にさえあぶれば、こんな安物の海苔でもここまで味を引き出せるのか・・・

・・・・これは、先日の私のちょっとした体験。ところで皆さんはこうやって香ばしく炙られた海苔をどうやって食されるか?

以下は私のよくする海苔の食べ方。

まずは簡略版の佃煮・・・・・炙った海苔を揉みほぐし、鰹節と混ぜ合わせる。これに醤油をちょいと注ぎ、熱いお湯を一たらし。海苔とカツオが潤びたら出来上がり。ご飯の友酒のあてとして申し分ない。ちぎった梅干を混ぜ込んでも、葱を混ぜ込んでもおつである。そして〆はこれにお湯を注ぎお吸い物にしてしまう。

そこまでの手間がさえも面倒くさいときは、炙ってそのまま。醤油だけでもいいし、マヨネーズをつけてもいい。

そして・・・海苔を湿気らせてしまったときは・・・思い切って残ったすべてを水につける。10分もすれば海苔はほぐれてもともとの海苔の姿に戻る。これをざるにあけて水を切り、鍋に入れる。酒・醤油(あとは好みで砂糖・みりん)を入れて・・・グツグツ・・・

佃煮の出来上がりである。市販の海苔の佃煮よりその香りの豊かさは数倍にあたる。まずはお試しあれ。特にこれは「焼き海苔」「味付け海苔」が湿気った場合最適である。シイタケなんか混ぜてもおいしいな・・・

贅沢をするならば牡蠣・・・これなんか文句なしにうまい。

いずれにしろ火を通しすぎないこと。少々水っぽいのは気にしない方がうまい。

広告を非表示にする